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視覚障がいの実態

視覚障がいの実態

国立障害者リハビリテーション病院
第二診療部長 清水 朋美 先生

日本には視覚障がいの身体障害者手帳(以下、手帳)を持っている人が約31万2千人います。一方、日本眼科医会の調査では、約164万人が見え方で困っているという報告が出されています。手帳を申請して取得できる程度の見え方であっても実際には手帳を持っていない人は珍しくありません。その理由としては、手帳を申請できる見え方の状態なのにそのことを知らないでいる人、知ってはいても手帳を持ちたくないと思う人等、理由はさまざまです。

視覚障がいは、情報障がいであり、移動障がいであるとも言われます。私たちは情報の80%以上を視覚から得ているとされており、見えにくさがあると上手く情報を得ることが難しくなります。代表的な困りごとのひとつに読み書きがありますが、情報を得にくくしている最大の要因であることが推測できます。また、見えにくさが原因で空間を認知することが難しくなるため、運動機能に問題がなくても自由にひとりで動き回ることが難しくなります。それゆえ、移動に困難を来すことになります。

特にこれまで見ることになにも不便を感じていなかった人が、病気やけがが原因で視覚障がいの状態になると、とても大きな喪失感に襲われます。一般的に視覚障がいの人たちの生活や工夫は十分に知られていないため、中途視覚障がいになった多くの人が真っ先に思うのは、「見えなくなったら何もできない」ということです。実は決してそうではなく、「工夫次第で多くのことにチャレンジ可能」だということを是非知っていただきたいと思います。

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ロービジョン(LV)とは

ロービジョン(LV)とは

国立障害者リハビリテーション病院
第二診療部長 清水 朋美 先生

視覚障がいというと、全く見えない状態を思い浮かべる方が多いですが、決してそうではありません。むしろ、部分的には見えているけれど十分には見えない、いわゆるロービジョン(Low vision; LV)の人のほうが圧倒的に多くいます。LVの人は、見え方の状態によっては、読み書きや移動も困らずにできることがあり、自分の見え方を他人に上手く説明することが難しいため、誤解を受けることも珍しくありません。

見えにくい状態になると、少しでも見え方を改善し、生活を便利にするための手段が必要になります。可能な治療をできるだけ受けた上で、見えにくさの状態とその人の背景に応じた最良の手段をともに考えながら提供していくのがいわゆるロービジョンケア(Low vision care; LVC)です。読み書きで困れば、眼鏡、拡大鏡、拡大読書器、音声での読み上げ装置等を検討します。移動で困れば、白杖の紹介説明を行いながら歩行訓練を行い、自力での歩行が難しい場合には同行援護サービスや盲導犬の検討を行います。手帳はLVCを行う際の通行手形のようなもので、手帳の有無によって受けられるサービスが大きく異なります。たとえ軽い等級であっても、手帳があることで生活のしやすさがかなり違ってきます。手帳は等級が重いか軽いかより、有か無かのほうが大きな違いになります。目下、残念ながらLVCは眼科のなかで十分に根付いているとは言えませんが、最近は一昔前に比べると各地でLVCに取り組む眼科が増えており、インターネットの発展もあって、見えにくさで困ったままの人が少しは減ってきているかもしれません。LVCでは、全く見えない全盲の人を対象とする場合もあり、見え方で困っている人全員を対象にしています。

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