アイするスポーツプロジェクト

TOKYO 2020 応援プログラム SDGs
第1回視覚障がい者スポーツ体験会
(2019年4月21日実施:東京国際フォーラム)実施報告

視覚障がい者スポーツ
「ゴールボール」体験記

日本眼科医会 広報担当

スポーツを通じて視覚障がいについて考えよう!と始まった「アイするスポーツプロジェクト」。2020年東京パラリンピックに向けて、パラスポーツへの理解を深め、視覚障がい者のQOL向上を眼科医として支援していくプロジェクトです。

眼科医が今まで以上に視覚障がい者をサポートするきっかけになって欲しいとの想いから、第123回日本眼科学会総会〔於: 東京国際フォーラム〕に併設して、平成31年4月21日(日)、日本眼科学会と日本眼科医会が共同でゴールボール体験会を開催し、日本ゴールボール協会の協力のもと、約60名が体験しました。

ゴールボールは、サッカーのゴール(7m32cm)よりも横幅のある9mのゴールにボールを投げ入れる(転がして入れる)競技です。3対3で行われ、攻撃側のうち1人がボールをゴロや数回のバウンドで転がし、守備側はゴールキーパー3人で守ります。あまり勢いよく放り投げると規定のラインを超えてしまい、反則となってしまいます。反則を犯すと、通常3人で守るゴールを1人で守らねばならないというペナルティが課されます。

参加者は「アイシェード」というスキー用ゴーグルの全く見えないバージョンを装着して行います。ボールの中には鈴が入っており、その音を頼りに敵陣から投げ込まれたボールを全身でブロックします。選手は転がるボールの鈴の音や敵の動く音などの「音が頼り」ですので、インプレー中は静寂を守り、選手はもちろん観客もプレーの妨害となる音を出さないようにしなければなりません。ルールの詳細はゴールボール協会のホームページをご覧ください。

いざ、体験! 音が頼り、とはこういうことだったのか・・・

初めてゴールボールを体験してみました。おそらくほとんどの参加者(定員60名)がルールもよくわからない状況だったのではないかと思います。

まずは、ベテラン選手のデモンストレーションがあり、ルール解説を受けながら初めてゴールボール競技を見学しました。敵陣から投げられたバスケットボールサイズのボールを全身でブロックするのですが、見ていた感じではボールは柔らかそうなので大丈夫かな?という印象でした。その後、守備姿勢の練習、そしてボールを投げる練習があったのですが、ここで気づいたことは「ボールが硬い!」というショッキングな事実でした。この事実を知り、ボールが当たると「痛くないのかな?」と少々不安になりました。

最初にアイシェードを装着するのですが、その後は本当に何も見えなくなってしまいます。そのため床に転がっているボールを拾うのが一苦労です。鈴の音を頼りにボールを拾うのですが、見学者から見ると猫がボールとじゃれているように見えたのではないかと思います。どちらが先行になるかを決めるじゃんけんも、声でグーチョキパーを表現して行います。口だけで言えば良いのに、みんな手もちゃんとじゃんけんをしていました。さすがに手と口は合っていたようです。

(写真1)

音だけではなく、手で床のライン紐を触って位置確認

コートの床にはラインテープの下に紐が敷かれており、その紐で自分がどっちを向いているのかを確認して敵陣目がけてボールを投げます。投げたボールは速い方が得点につながりそうなものですが、床がカーペットだったこともあり、回転の少ないスローボールは鈴の音が小さくなるので割と有効だった気がします。練習のときは目をつぶって投げたのですが、アイシェードで全く見えなくしたほうが投げやすかったのは不思議でした。

そして、痛そうで怖かった問題の守備ですが、ボールがぶつかっても痛みはなく、プレーに集中できました。皆さんが鈴の音に敏感に反応し、見えなくても上手に競技ができていたと思います。時々ボールと逆方向に守備体制を取っていた方もいましたが、その辺は初心者ということでご愛嬌です。参加者には高齢の先生方もいましたが、全員怪我なく体験会を終えることができ、安全性も確認できたかもしれません。

最後に、一番びっくりしたのは、我々の模擬試合をずっと解説してくれていた方が全盲であったことです。最初はそれを知らずに解説を聞きながら観戦していましたが、途中で全盲であるということがアナウンスされ、皆、驚きの声を上げていました。まるで見えているかのように、「センターの選手が良い動きですね」とか、「ボールを放り投げてしまいましたね」とか、「惜しくも右のラインを割ってしまいました」と解説されていて、視覚障がいのある方々は視覚以外の感覚が非常に優れており、我々が思っている以上に普通に行動ができるのだなと実感しました。

2019年10月京都府での第73回日本臨床眼科学会でも、視覚障がい者スポーツに関するイベントを開催予定です。皆様ぜひ参加し、視覚障がい者への理解を深めてください。

(写真2)

〈 参加者のコメント 〉

【参加した眼科医の声】

宮城県 伊勢屋貴史先生

日本眼科学会総会でお勉強した後の、日曜日午後にゴールボール体験会に参加してきました。見るのも体験するのも初めてでしたが、楽しかったです。

今回体験して、視覚障がい者への対応を今まで以上に行おうと思いました。

ゴールボールは来年開催される東京パラリンピックの開催競技です。より観戦を楽しむためにも多くの方に体験してもらいたいです。

【視覚障がい者をもつ参加者の声】

日本盲人会連合情報部 三宅隆部長

ゴールボールは初体験でした。普段サウンドテーブルテニス(卓球)をしているが、卓球と比べ、声をかけあってのチームワークが必要な団体戦であったことに違いを感じた。この体験を機に、ゴールボールをもう少しやってみたいという気持ちになった。今後も眼科医の先生はもちろん、多くの方が視覚障がい者スポーツ体験をできる機会が増えて欲しい。

(写真3)

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